07.12.17

論文

パウダースペースホルダー法により作製したマイクロポーラス金属の機能特性の評価

パウダースペースホルダー法により作製したマイクロポーラス金属の機能特性の評価



機械学会年次大会2007 口頭発表

概要:
多孔質金属(ポーラス金属)は,構造用材料としての用途に加え,フィルター,触媒,熱交換器,インプラントなどの製品のように,気孔径が比較的小さく,複雑な形状を有する,機能性の高い精密部品への要求もある.とりわけ,ヒートシンクやヒートパイプのような放熱デバイス部品では,小型集積化されたコンピュータや電気機器を効率良く冷却するため,熱伝導性が高く,省スペースで高い表面積を有する材料が要求され,細孔による毛細管効果や圧損の低減,高耐食性などが要求される.
筆者らは,金属粉末射出成形(Metal Injection Molding, MIM)技術を応用し,金属粉末とバインダを混合して得られるMIM原料に,第三の構成材料として気孔形成用樹脂粒子を添加し,成形,脱脂および焼結を経て,ポーラス金属部品を製造するパウダースペースホルダーMIM(Powder Space Holder MIM, PSH-MIM)法の開発を行ってきた[1].本製造法の特長は,ミクロン級の気孔を有する複雑な三次元形状の精密部品をニアネットシェイプで量産可能であり,添加する樹脂粒子のサイズや配合割合を変化させることにより,気孔径,気孔率および多孔質構造などを制御することが可能である.
本研究では,PSH-MIM法により製造したポーラス金属の放熱性能を評価するため,伝熱理論に基づき放熱試験装置を設計製作し,気孔径の異なる試験片の熱伝達率を測定した.また,ポーラス金属の毛細管現象による液体浸透性能を評価するため,浸水試験装置を製作し,吸水による重量変化を測定した.