μ-MIM技術ニュース Vol.05

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

ステンレス材のMIMへの工法転換について

優れた耐食性と機能性により幅広い産業分野で用いられるステンレス材の需要は近年も拡大を続けています。しかしながら、ステンレスの代名詞とも言われた18-8ステンレス(304)は減少傾向にあり、その代わりとして、用途に合わせたステンレス鋼の生産が拡大しています。

一般に、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系と呼ばれる4種に大別され、その種類は現在では100種以上あると言われております。今回のニュースレターでは弊社でも特に多くの引合を頂戴しております代表的な鋼種についてご紹介致します。

オーステナイト系ステンレス

- 高い耐食性で用途や利用領域が最も広いステンレス鋼-

304にMoを添加。炭素含有量が極めて少なく、表面硬度・引張強度などは他の鋼種に劣るが、一般的にもサージカルステンレスとして知られるほど耐食性が非常に高く、高温強度も優れる。機械加工では加工硬化が著しい材料ですので、MIMの特徴である自由な形状設計高精度な量産性を活かした提案が可能です。

析出硬化系ステンレス

-耐食性と高強度を兼ね備えたステンレス鋼-

析出硬化系ステンレスは、銅(Cu)を添加することで、熱処理によって高硬度となるステンレス鋼です。元来、焼き入れによって硬化できないオーステナイト系ステンレスを熱処理によって強さや硬さを強化できるように改良した鋼種ですので耐食性にも優れます。近年特に医療用部品としての活用が増えております。

フェライト系ステンレス

- 軟磁性材として機能性部品の用途が注目-

フェライト系はNiを含まないステンレス系で、熱処理を行っても硬化せず、フェライト生成元素であるCr、Mo、Siなどが適度に調整されているため高温下でもフェライトのまま存在し、熱膨張係数も他の鋼種より低くなります。特に小型化・複雑形状化のニーズが高まっております。

マルテンサイト系ステンレス

-熱処理によりステンレス鋼の中では最も高硬度-

炭素の含有量が多く、焼入れを行うことが可能で、焼き戻しの調節により幅広い機械的特性を与えることが可能で特に強度や硬度を要する機械部品や刃物などに使われています。機械加工での微細加工品の量産は困難なため、MIM化検討のニーズが大きいです。

社員コラム

こんにちは!技術担当をしております大久保健児です。
入社して早15年が経ちました。これまで設計開発、研究開発、成形現場を経て色々経験させて頂いた知識や能力を生かし、超難題のある製品の量産化に向けて日々頭を悩ましております。仕事をする上でのモットーは、「何事も慎重に焦らず!」です。
仕事量が増えてくると焦りが生じ、本来の”気づき”に気付かず、遠回りをすることがあります。そうならないように一旦立ち止まり、自分自身を傍観するようにしています。そうすることで案外冷静に、こつこつ仕事を進めることができます。
趣味はドラム演奏です。最近はビックバンドを組んで年に2~3回はジャズストに出演またはワンマンライブを開催しています。それと最近子供が出来まして、早いもので9/20で1才を迎えます。激かわいくて早く家に帰りたくてしょうがない今日この頃です。これからもよろしくお願い致します!