μ-MIM技術ニュース Vol.8

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

1.コストを 5 分の 1 まで削減に成功!

機械加工から MIM への置き換えによるVA/VE コストダウンの成功事例

これまでの技術ニュースでお伝えしたように、製造業の世界では一般に部品点数の増加はコストに対して2乗で影響を与えると言われています。
MIM による部品製作の大きな特徴のひとつは部品の一体成形が可能なことです。例えば従来は複数の切削加工部品を組合わせて作っていた部品も、MIM であれば金型への射出成形で一度に得ることができるため、複雑な部品であっても形状によっては大幅なコストダウンを図ることが可能です。

上写真は太盛工業でご提案した、MIM の利用によるカム部品におけるコストダウン事例です。材質は SUS630で、従来はピン部分とカム部分をそれぞれ別々に切削加工し、圧入により組合わせていました。太盛工業ではこの部品に対し、MIM による一体成形を提案。部品点数を削減し、トータルコストを5分の1以下にまで収めることに成功しました。

MIM の特徴を改めて整理すると、上記のようになります。MIM による最もコストダウン効果が大きいひとつとして今回ご紹介した部品点数の削減があります。特に微細形状の組合わせ部品は、切削加工コストと組立てコストが高くなるため、MIM への置き換え効果が大きいと言えます。また材質は焼結可能であれば MIM へと原則適用が可能で、ステンレスをはじめチタンやコバールといった、難削材の微小部品についても大きなコストメリットを出すことが可能です。 MIM の活用による高精度微細部品のコストダウン製作は太盛工業までご相談ください!

2. 別体部品の接合技術のご紹介!

MIM 部品の接合には、ボルトもリベットも接着剤も必要ありません!

MIM は「金属射出成形」の名のとおり、射出成形によって部品の形状を作り、その後微小金属粉末を焼結により接合させて緻密な金属部品を得ます。太盛工業ではこの焼結というプロセスに注目し、部品を別々に成形し、焼結時に接合する技術開発に成功しています。この技術を用いると、単独の金型では成形できない複雑形状部品であっても、焼結時に接合することで一体部品としての製作が可能になります。この手法を用いると部品締結に接着剤や、ボルトのような締結部品はもちろん必要ありません。焼結によって金属同士がくっ付くために、同種材はもちろん、異種材同士の接合も可能です。
この太盛工業の MIM の接合技術について、最もよく設計開発の方からいただく質問は、「強度は大丈夫なのか?」というものです。異なる部品同士を成形後に接合させるわけですからこの疑問も当然と言えます。こういった疑問にもお答えするために、太盛工業では接合の強度検証まで行っています。下記のように接合後のタングステン材料等に対して接合部の強度が十分であることをテストしています。技術に関する相談もお気軽にお寄せください!

3.MIM技術セミナー開催のご報告

「設計者が知っておくべき金属射出成形の基本と応用」を開催しました!

太盛工業はこのたび設計・開発者様向けに MIM技術セミナーを開催しました!多くの設計者の方にお越しいただき、設計の現場ですぐにご活用頂ける高精度化やトラブル防止、コストダウンにつながるMIM部品設計のポイントをお伝えしました。ご参加頂いたみなさま、誠にありがとうございました!
貴社内への出張セミナーも可能ですので、ご興味を持たれた方は太盛工業までご相談ください!

4.MIM 特集論文掲載のご報告

学会誌に最新 MIM 業界の現状を執筆

太盛工業は展示会出展をはじめ、最新研究事例の学会発表、論文投稿など技術研究、情報発信を積極的に行っています。このたび、金属材料の基礎技術に関する業界誌、「素形材」において、10 月号の特集に「最近の金属射出成型とその動向」とい
うテーマで MIM に関する業界の俯瞰、そして当社のμ-MIM を含む、MIM における最先端の研究事例等について、執筆を行っております。MIM について基本的な内容についても論文中で触れておりますので、MIM について興味を抱かれた方はぜひ 10月号の「素形材」をご覧ください!

<今後の展示会・学会 予定>
11 月 Medica 2013 (ドイツ)
2 月 MD&M West (アメリカ)

太盛工業の社員が語る今月のコラム

みなさんこんにちは。太盛工業 研究開発室の大久保と申します。MIM の技術開発やお客様への技術対応をメインに行っています。実は私も含めた研究開発室メンバーの趣味は共通して音楽!皆が集まると楽団演奏もできてしまいます。高校時代はドラマーとして鳴らした私も、今は落ち着いてトランペットを吹いています。ご要望があれば出張セミナーだけでなく、出張演奏会も承ります!太盛工業を今後もよろしくお願いします!