μ-MIM技術ニュース Vol.10

精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter

「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!

1. MIM の薄肉部品はμ-MIM で!

作りたいけどできなかった、薄肉 MIM も太盛工業のμ-MIM が実現します。

MIM において、薄肉部分は脱脂・焼結時に歪みが発生し易く、二次加工が必要になったり、MIM による製作が不可能なケースが多くなります。そのため MIM を設計する際には薄肉部分の設計は避けて設計することが高精度化のポイントで、実際に設計者の方との打合せでは非常によく提案を行っている点です。
しかし実際には製品の小型化を含め、機能上薄肉部分がどうしても必要な場合があり、「二次加工費でMIMのメリットが出ない」「MIMを使いたいけど、精度が不安て採用できない」といったご要望を設計者の方から何年も前から伺ってきました。また MIM という工法のメリットや特徴を考えると薄肉形状、微細形状への対応が今後絶対に必要であると太盛工業では考え、10 年以上前から、自社独自技術であるμ-MIM において、部品の薄肉化を重要テーマとして研究開発を進めてきました。

上写真は太盛工業のμ-MIM の SEM 写真です。写真上の空洞部に対し、厚さが 180μmとなっており従来の MIM では不可能な薄肉のMIM 製品となっています。通常の MIM メーカーですと、0.2mm の部分とその数倍の肉厚部分を含む MIM 製品を安定して製造することは不可能で、この MIM の薄肉化技術は太盛工業の独自技術です。現在はさらに薄い部分を含む MIM 部品の研究を進めており、形状にもよりますが 20μm の形状を含む部品も安定して製造することができるようになってきています。薄肉・微細形状 MIM は太盛工業まで!

2.μ-MIM を実現する技術

混練工程が MIM 製品精度を決定づけます。

前回のニュースでは金属粉末のつなぎとなるバインダが超高精度のμ-MIM においては精度を出すためにまず重要になることをお伝えしました。バインダは金属粉末と混ぜ合わされ、「MIM のもと」とも言えるペレット状になります。この金属粉末とバインダを混ぜ合わせる工程を混練と呼びますが、この混練もμ-MIMの品質に関わる重要なポイントとなります。

単純に金属粉末とバインダを混ぜればいいわけではもちろんなく、この混練工程にも非常に多くのノウハウが必要になります。最もこの工程で求められることは、製造した MIM 材料の中で金属粉末とバインダが均一の割合で分布していることです。MIM の焼結工程では、バインダが蒸発して抜けた後の金属粉末同士が、焼結により結合していきます。この際に、金属粉末同士が均一な間隔で分布していない場合、結合時に力の不均一が生じ、空孔の発生やクラック、最終形状の歪みといった形で混練の影響が MIM 製品に現れてきます。

金属粉末とバインダとなる各樹脂粉末は当然ながら重さが異なるために通常の混練機を用いただけでは、高精度・微細形状MIM部品に適した MIM 材料を製作することはできません。そのため太盛工業では混練のシビアな条件設定はもちろんのこと、混練機のメーカーと多数の打合せを重ねながら、オーダーメイドに近い形で混練機を調達しています。
また研究開発室ではドイツ製の小型樹脂混練・押出成形機や、超微量混練射出成形機など、業界最先端の混練機、分析機器を揃えており、常に最適な超高精度 MIM 材料の精製条件を研究しています。
太盛工業では今後も、世界中のどの会社もできない MIM や世の中にない技術の開発を進めていきます。超高精度 MIM に関するご質問、ご相談は太盛工業まで!

3.産学連携 共同研究活動のご報告

太盛工業は国内外をはじめとした大学・企業・研究機関と長年に渡り共同研究を行ってきました。現在も多数の大学、研究機関と研究開発が進行中であり、例えば東北大学様との貴金属 MIM に関する研究や、エネルギー系企業との多孔質金属の研究プロジェクトがあります。我々は MIM の研究開発型メーカーとして、双方の得意分野や設備を活かし、基礎研究からの共同研究を推進します。MIM や多孔質金属の専門技術は太盛工業まで!

<今後の展示会・学会 予定>
2014 年 2 月 MD&M West (アメリカ)
2014 年 4月 高機能金属展(東京ビッグサイト)

太盛工業の社員が語る今月のコラム

みなさんこんにちは。技術顧問の岩津と申します。粉末冶金( PM:PowderMetallurgy)に接してすでに 45 年近く、その間、含油軸受・金属粉製造・MIMなどの研究開発に携わってきました。そして粉末冶金学会・工業界の方々とも多くの人脈を深めてきました。太盛工業ではいままで培ってきた知見をできるだけ多く社内外の方々に伝えていきたいと思います。今後も太盛工業をよろしくお願いします!