TECHNIQUE 技術ニュースレター
μ-MIM技術ニュース Vol.38
精密金属射出成形(μ-MIM) 技術ニュースレター
Micro Metal Injection Molding Technical Newsletter
「金属射出成形 技術ニュースレター」は、金属射出成形に関する開発・設計者向けの技術情報をお伝えする技術ニュースレターです。印刷の上、ぜひ貴社内でご回覧ください!
1. μ-MIM による複雑形状小型精密部品の量産体制と品質保証体制
部品の量産体制と品質保証体制 太盛工業には現在、日本だけでなく世界中から、高精度 MIM を求めて相談が舞い込んできています。今回の技術ニュースでは、μ-MIM で実現する複雑形状小型精密部品の量産と、製品の評価を行う品質保証体制についてご紹介します。
① 機械加工不可能な形状を量産加工
金属粉末射出成形とは、粉末冶金と射出成形を組み合わせた加工技術で Metalinjection molding の略称から MIM と呼ばれています。以前からこちらの技術ニュースでも触れてきましたが、当社はその中でもμ-MIMと呼ばれる領域の加工を得意としています。具体的には、製品サイズで1mm以下、および1mm以下の構造を有する領域の製品を指します。一般的に、金属に対する精密加工、微細加工というと機械加工で行うことが多く、微細穴加工や噴射・塗布ノズル等が製作事例として挙げられています。では、なぜμ-MIM 技術が必要となるのかというと、機械加工が得意とする加工形状とMIMが得意とする加工形状が異なっているからです。機械加工は工具を用いた加工方法であることから、必要となる工具が既製品で存在しないと特注品の調達が必要となり、あるいはそもそも内部に加工工具が入らない径や長さの制約から加工自体が不可能なケースも少なくないと言えます。下記の製品写真もその一つで、内部にある流路が段付き形状となっており、また自由曲面形状ともなっていることから、切削ではほぼ不可能であると言えます。また、量産性を考慮するとμ‐MIM が品質・コスト面で最適な加工方法であると言える製品です。
② μ‐MIM で実現する異形状ノズル
μ‐MIM が得意とするノズルは、先ほど紹介したような流路に特徴のあるノズル以外にも様々な種類があります。たとえば、指先サイズより小さく、直径が数ミリ以下の精密ノズルは切削加工では工具の関係上、加工が困難であると言えます。他にも、内部の複雑な中空構造が必要となる場合においても当社の加工技術を用いることで任意の形状を実現することができます。
ただし、MIM 技術は、小ロット品の加工には不向きな面があると言えます。例えば 10~100 個といったロット数の部品を製作する上では、MIM に必要となる金型費用がイニシャルコストとして大きく現れてきてしまうからです。一方で、ロットが300、1000、10000個といった数になってくると、MIM の量産性が大きなメリットとして現れます。その為、μ‐MIM技術は、複雑な形状かつ量産性が求められているような製品の加工において、重宝され、今回、ご紹介しているような精密ノズルの加工においても効果的であると言えます。
また、精密・微細ノズルのニーズは、医療・液晶・半導体業界を中心に高まりをみせていると言われ、上の図にあるような様々な複雑形状の設計がなされています。当社でもμ-MIM 技術を活かし、異形状ノズルの製作に取り組んでいきますので、気になる方はぜひとも、お問い合わせください。
③充実した検査・評価システムの構築
太盛工業では、開発パートナーとしての実績も多数保有しており、加工だけでなく自社で製品の評価が行える体制づくりも行っています。特に当社で導入している ATOS システムは3Dスキャンデータと CAD データの比較を行うことで、小型で複雑形状を持つノズルや固定が困難な自由曲面を多く持つような製品でも5μm 以下の寸法精度を保証することが可能です。精密部品の成形~測定~量産までの一貫対応なら、お任せください。
2. MEDIX に出展します
太盛工業は 6 月 21 日~23 日に東京ビッグサイト開催 第 8 回医療機器・開発・製造展(MEDIX)に出展をします!ブースは、東4 ホール 番号 77-2 となります。サンプルワークをはじめ、実際の図面等を元にした技術相談も承ります。当日はブースにてお待ちしております。ぜひとも、お越しください。
<今後の展示会・学会 予定>
2017 年 7 月 先端加工技術マッチングフェア
太盛工業の社員が語る今月のコラム
昨年 11 月より太盛工業に入社いたしました、善家 春と申します。ややこしい名前が揃っておりよく間違われるのですが、「ぜんけしゅん」と読みます。現在はリスクマネジメント関連の業務や、主に品質管理の仕事をさせていただいております。入社して 6 か月が経ちますが、非常に学ぶことがたくさんあり、まだまだ勉強の毎日です。人前ではすぐに上がってしまうので目立つことが不得意ではありますが、縁の下の力持ちのような存在として会社に貢献できるように日々精進したいと思います!精一杯頑張って参りますので、今後ともよろしくお願いします。